さよならH子さん

長い闘病生活になりそうだと聞いたのは昨年の夏前。

H子さんの自宅近くの喫茶店でランチの約束。暑い中、ハンカチを忘れてティッシュ
汗をふいていた私にH子さんはいつもながら優しく「これ使って」と青いタオルハンカチを
貸してくれました。

次回、洗って返そうとしたところ「momoさんが持っていて」の一言。
言葉にならない気持ちを受け取って、それ以来、青いハンカチは私のお守り。
神社などへ行くときは必ずバックに入れて、「H子さんの症状が良くなりますように」と
ハンカチと共に手を合わせました。

待ちにまった5月23日からの3連休。病院にお見舞いに行こうと22日の夜に電話を入れ
たところ、お姉さんより「今朝、亡くなりました」と信じられない言葉が。

今は京都を遠く離れた私が、後悔しないように、きちんとお別れができるように、
この3連休を待っていてくれたのかもしれない。23日のお通夜、翌日のお葬式と、
H子さんの事だけに向き合えた3日間でした。

1週間前の東京出張の折に、H子さんに差し上げようと購入した小銭入れ。
ご親族に了承を得て、棺の足元に入れさせてもらいました。中にラストレターを忍ばせて。

初めてお会いしてから20年。何度優しい言葉をかけてくれただろうか。どれだけ心配して
くれただろう。交わした言葉、一緒に過ごした時間、語りつくせない。あまりの喪失感で、
悲しみにくれる3日間でした。

私の手元に残されたのはたくさんの思い出と青いハンカチ。あの日は汗を。今は涙を。